梨の花粉

当園では輸入花粉を利用しておりました。しかし、輸入花粉により火傷病の発生が確認されたということで輸入は停止となりました。火傷病とは焼けたように枝葉が枯れてしまう病気です。

当園では火傷病は発生しませんでしたが、今年度より急遽、花粉を自分たちで精製するという状況になりました。

これにより、昨年実施しました栽培体験会を開催できず、楽しみにされていた皆様には大変申し訳なく感じております。

それでもこの状況を打破しないことには、栽培体験会のみならず、皆様に直売会を通じて梨をお届けすることができなくなってしまうのでスタッフで力を合わせて準備を進めてまいりました。

まずは機械の導入を間に合わせることができました。

花粉精製には3点の機械が必要となります。葯採取機、開葯機、花粉生成器です。もちろん3点無くても作ることができますが、3点セットとよく言われているそうです。全国一斉の問題となったため、機械購入が相次ぎ、生産が間に合わないと聞いていましたが、なんとか花の季節に間に合いました。

開葯機

作業として、まずは花を摘みます。花といっても、花が開く直前の膨らんだ蕾です。開いてしまうと中の葯(やく)がひらき花粉が出てしまいます。葯というと言葉が難しいですが、いわゆる雄しべですね。いい果実も収穫する必要があるので、場所を選びながら花を摘んでいきます。

そこから機械にかけ、葯だけを取り出します。そして先ほどの開葯機で温めて、葯を開くことで花粉を出します。さらにごみを取り除く精選機にかけると花粉を取り出せます。

梨には遺伝子を考慮する必要があります。結びつきやすい品種、同系列のため合わない品種があります。それらを考慮しながら、どの花粉を生成するかがポイントになります。

今年は2月は暖かく、3月は比較的寒いという気候条件により各品種の花が時期的に揃ったというのは助かりました。

毎日、花を摘み、花粉を生成し、翌日受粉作業を行うという作業手順を行っています。

今まではこの時期の作業負荷は少なかったのですが、一気にボリュームが増えました。それでも「輸入に依存しない農業」に取り組んでいることを感じられ、やりがいも感じております。

まだまだ試行錯誤の中であり、この私たちの花粉で果実が着果することを確認するまでは不安はぬぐい切れませんが、毎日自分たちを信じて行っております。皆様においしい梨が届けることができるよう、頑張ります!

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