梨の剪定講習会

1月12日、髙橋果樹園の根圏制御栽培ナシを用いて剪定講習会が行われました。

講師は東京都農林総合研究センターの果樹チーム研究員の杉田さん。また、近隣で根圏制御栽培ナシを導入している農家さん数名も加わり、根圏制御栽培の基本的な内容から、各々の圃場の様子や生育の悩みなど熱い議論がなされました。

根圏制御栽培とは、防根シートを用いて樹を地面から切り離し盛り土の中だけで栽培する手法です。根が空気に触れることのより、肥料成分を吸収する細根の発育を促し効率的に栽培します。また水は点滴で行われるため水分量が制限されるため、果実は小さくなりますが甘みを強く感じる味わいへと仕上がります。地面に植えるよりもコンパクトに栽培されるため、剪定も根圏制御に合うものを取り入れる必要があります。

今回の講演会で特に議論になったことは「樹勢管理」です。コンパクトな樹形なうえ、Y字仕立てを導入しているため、養分が均等に回るように工夫しなければなりません。太い立派な枝というのは、逆にバランスを崩すため切る必要があります。

果樹栽培の最大のテーマは「毎年、高品質な果実を同じ量収穫できること」になります。昨年のナシの果実は非常に好評いただき手ごたえは感じておりますが、今年も来年も同じ品質を維持するためには今年の剪定が非常に重要であると認識しております。今回の剪定講習会は基本的なことの再確認から、1年を通じた管理の細やかなところまで学べ非常に有意義なものとなりました。杉田さんをはじめ、農林総合研究センターの皆様、農業改良普及センターの皆様、同志の皆様には感謝申し上げます。

そして早速実践。

技術① クサビ 今回初めて知りました。考え方としても反対にクサビを入れるものと思っていました。こうすることで太い枝に流れる養分を半分にすることができるうえ、クサビの下の部分(基部に近いところ)に養分が留まり、新しい枝の発生を促してくれます。

技術② ワリ 本当は上側に割りたかったのですが…。この枝は失敗しました。それでも大勢に影響はないので大丈夫です。これも流れる養分を半減させます。キウイでもスモモでナシでも愛用している技です。負荷をかける、ストレスを与えると樹は焦るので、果実をしっかりと育てようとしてくれます。ただナシの場合、ものすごい回復力でこの傷はなかったかのように塞がってしまいます。植物の力のすごさを感じます。

技術③ 芽の整理 今年のテーマです。昨年は初めてだったこともあり、芽を大事にし過ぎていました。その為、着果量も多く、摘果の量が多くなってしまいました。その反省を活かし、勇気を出して目を減らしていこうと思います。早い段階から減らすことで、着果が少なくなるのでより高品質な果実になります。自分たちの作業負担も減ります。まだまだ改善点が見つかることはありがたく、非常に楽しみになります。

様々な技を駆使して1枝1枝、寒空の中の剪定。周りから見るとどう思われるかわかりませんが、、作業している私たちは楽しいです。今年の出来もお楽しみに!

直売会スケジュール 1月

新年おめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

1月の直売会スケジュールとなります。剪定作業などにより、月曜日の開催は致しません。土曜日の実の開催となりますのでご容赦ください。

14日(土) 10:00~

21日(土) 10:00~

28日(土) 10:00~

キウイフルーツ(東京ゴールド、ヘイワード)、ネギ、白菜、里芋、大根、サツマイモ、カブなどの販売を予定しております。野菜につきましては残り数が少なくなっており、また厳しい冷え込みによる凍結などにより販売終了が早まることもございます。

皆様のお越しをお待ちしております。

2022年

振り返ればあっという間の一年間でした。「あっという間に時間は過ぎ、年初めにイメージしたことの半分ができれば良い方だよ」と交わした先輩農家との会話が妙に頭に残り、時の速さと共につくづくそれを体感します。

今年も果樹園日誌で一年を振り返りたいと思います。

まずはじめに、今年はこの果樹園日誌の更新がなかなか思うようにはいかなかったということを感じています。もっと記事を書きたかったのに、ついつい日々の慌ただしさに流され更新が滞ってしまいましたことをお詫び申し上げます。楽しみにしてくれている皆様の為にも、もっともっと日々の果物づくりのお話をお届けできるよう2023年は取り組みたいと思います。

その果物づくりに関してですが、今年は高温猛暑のなか、比較的良くできたと感じております。なんといっても今年は「梨」です。髙橋果樹園初の梨を直売会などを通じてお届けできたことはとても嬉しく、新しい一ページが開けたような気がしております。ご購入いただいた方々からも「美味しい!」と言っていただけて、改めて梨栽培(根圏制御栽培)に挑戦してみて良かったなと感じさせていただきました。特に「豊水」が反応が良く、酸味のある品種の為、品種導入の際はとても悩みましたけれども、「甘さと酸味で非常に味が濃くて美味しい」と言っていただけたことは私自身びっくりしました。

今年は鳥害が多く、特に柿、リンゴ、西洋梨の被害は甚大でした。リンゴ、西洋梨は今年初成りで、私自身非常に期待していた品目でした。少しリンゴは皆様にご提供できたので良かったです。黄色系の品種「トキ」は非常に風味豊かで美味しく、東京のリンゴもいける!と感じさせてくれた味わいでした。テグスなどの対策を通じて、来年はもっと皆様にお届けできるよう努めます。

そして今年は体験にも力を入れました。子供会を中心とした野菜の栽培体験、夏の収穫体験会、そして今回が初の試みとなりました秋の収穫体験会。

夏の収穫体験からブドウ梨の販売と目まぐるしく過ぎる中で、スタッフで企画し行った秋の収穫体験会。柿、キウイについては幾度か体験会をしていたのでイメージはできたのですが、サツマイモは掘ってみないことにはどうにもできないので、内心ハラハラドキドキしておりました。それでもいざ掘ってみると、「おっきい!!」「いっぱいある!!」などの歓声があがったときは、安堵と共に喜びがわきあがり感無量でした。お越しいただいた皆様には改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。

また今年は視察の受け入れや講演もよく行わせていただきました。立川市よりご依頼を受けましたシルバー大学での授業もなかなかの長丁場でドキドキしました。ブルーベリー栽培からの果樹栽培の話を通じて果物づくりの魅力をお伝えすることができ、良かったです。拍手を頂きましてありがとうございました。もう一つ印象深かったのは高千穂大学への視察受け入れ&講義です。普段食育授業など小学生向けのお話は多いのですが、大学生となるともっと専門的、もっと深い内容が求めれると思い準備したのがいい思い出となりました。まだまだ講義と呼べる内容ではないですが、このような機会を頂けるありがたさを感じながら、研鑽して、農業の魅力、果物栽培の魅力をお伝え出来たらと思います。

まだまだ振り返るともっともっと長文になるほどたくさんありますが、なにより今年感じたことはスタッフへの感謝です。農業は毎年環境が異なり毎日が勉強だといわれる特殊な職業とされる中、果物作りに真摯に向き合い少しずつ技術を高めて、それを発揮してくれる仲間には頭が上がりません。私自身もまだまだ伸びしろがあると感じております。新しいアイデアを形にして、よりよい果物を皆様にお届けできるよう、髙橋果樹園スタッフ一同、取り組んで参ります。縁あって、規模拡大をするチャンスを頂けたのでまた初心に戻るつもりで果物づくりに励みます。

結びになりますが、2023年が皆様にとって実り多き一年になりますことをご祈念申し上げます。よい新年をお迎えください。

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